網野の蒙古襲来

250827

網野義彦、蒙古襲来、岩波書店、2008年、網野義彦全集第5巻(全18巻)

蒙古襲来を続けて取り上げる。

前回はモンゴル中心の旗田巍の本から理解できたことがあった。そこでさらに今回は網野義彦の蒙古襲来を紹介して見たい。また別の興味深い視点がある。

朝鮮の歴史についての固有の観念が歴史の見方を左右する。

続きを読む “網野の蒙古襲来”

蒙古襲来、海外からの視点

 読書ブログ250801

旗田巍著 元寇蒙古帝国の内部事情 中公新書 昭和40年9月発行(1965年)

今回はこの本を紹介していきたい。

この本は蒙古襲来と言われている日本の二回の元寇について蒙古、高麗側からこの戦争を描いたものだ。なぜこの本を読むようになったか。それは高橋典幸編 中世史講義(戦乱編) ちくま新書、2020年4月発行、から示唆を受けたものである。これに半世紀以上前の著作であるが、歴史を見る視点を変えることは現代人にとって重要であることを教える。中世史講義の当該箇所の最後に4,5冊紹介されている中の一冊である。多分この高橋氏にとっては重要参考文献ということではないか。

続きを読む “蒙古襲来、海外からの視点”

移ろいやすい世論の実像

「世論」W.リップマン、掛川トミ子訳、岩波文庫 1987年初版(原著は1922年発行)

この本をなぜ読むか

米国大統領選、ブラジル選挙、インドの選挙、ジョージア選挙などの選挙、イスラエルニュース、ウクライナ報道、ロシアの動向、フェイクニュース、自民党の総裁選、日本の衆議院選挙、ガザ報道、こういうテレビニュースや新聞報道はどの程度世論に影響を与えるものなのか。あるいはこの報道の裏には何があるのか。世論を構成する大衆・公衆はどんな力があるのかないのか、そのことが霧に包まれるごとく曖昧模糊として、分からない。特に選挙行動にどのような影響を与えているのだろう。というわけでこの本にはその種の事に関する示唆があるのではないかと思い手にした。「世論」とは何か。「世論」というキーワードはどれ程重要なのか。リップマンの本ともう一つ「マッカーシズム」(R.Hローピア著)はアメリカの政治の一端を垣間見させてくれるものだ。理解しやすいことを期待して読んだのであるが、なかなか難しい本である。また、なかなかとらえどころのない本である。本当によくわかったかと言われれば分かりにくいとしか言えないが、中間的なまとめとして報告していきたい。またさらにこの本だけでは理解できないのでリップマンのすぐこの著の後に書いた「幻の公衆」(川崎義紀訳、柏書房2007年、原著1925年)も読む。

続きを読む “移ろいやすい世論の実像”

今一番必要なことは暴力ではなくソクラテスの対話だ。

ソクラテスの「弁明」「クリトン」「パイドン」

(中央公論社、田中美知太郎、池田美恵訳、1966年発行)

戦争とその解説者たち

我々の時代には戦争などありえないと思っていた。ベトナム戦争で戦争は終わったはずだった。しかし世界は戦争をし続けていた。それは局地戦的なものでしかない。いわゆる紛争と言われるものだった。しかし今や本格的な国と国との戦争が起こった。戦争は端的に殺し合いとなっている。ウクライナ、ロシア双方で10万人以上の死者を出している。またパレスチナの人々は3万9千人すでに死んでいる。(24,07,23現在のニュースで)

続きを読む “今一番必要なことは暴力ではなくソクラテスの対話だ。”

ヨセフスの自伝から今のイスラエルを思う

フィラウィス・ヨセフス「自伝」秦剛平訳、山本書店、1978年

(前書き山本書店主、解説、あとがき秦剛平)

なぜこの本を今読むのか

イスラエル問題の現在、いつ終わるとも知れないガザの苦難、ハマスも悪い、イスラエルはもっと悪い、特にネタニヤフ政権はもっとひどい。(オランダハーグの国際司法裁判所はプーチンとネタニヤフに犯罪者として裁定を下した)ことに、今年のアメリカの大統領選挙、インド、ロシア、6/3にはメキシコ女性大統領が誕生するというニュースがあった。そういう世界で選挙の年と言われており、その選挙結果によりウクライナやイスラエル。ガザ問題の世界での扱いが大きく変わる可能性がある。私は、戦争というものの悲惨さ、過酷さ、フェイクな情報戦、、協力する陣営の対立、弾薬工場の増産活動(背後にある産業間の戦争でもある)戦時体制、制裁回避、国内政治の動向による政治家や政策の不安定さ、i1枚岩ではないヨーロッパ、NATOの動向などTVニュースや新聞で毎日読んでいる。やはり強いやつが強いだけだ、との感は否めず。国連決議も弱く実際の行動までにはいかない。グテーレス議長が何を言っても事態は変わらない。

続きを読む “ヨセフスの自伝から今のイスラエルを思う”

反戦歌はどこへ行った?

鶴見良行著作集2,べ平連、みすず書房、2002年6月(著作集は全12巻、大体一冊、500ページ、7000円程度)

「志の女」ジョーン・バエズ

この著作集の中のこの巻は大体べ平連で活躍していたころの著作、というか収録されている単行本はなく、雑誌に書き散らしたものを集めたものだ。解題によれば、ジョーン、バエズの記事は1967年朝日ジャーナル2月19日号で発表とある。朝日ジャーナルのあった時代のことである。

続きを読む “反戦歌はどこへ行った?”

女性から見た戦争

岩波現代文庫、スヴェトラーナ、アレクシェ-ヴィッチ、翻訳三浦みどり、解説澤地久枝、初版2008年群像社から発行、岩波現代文庫2016年発行

岩波の現代新書の中の一つ、ロシア、ウクライナ戦争が始まった頃この本を見つけた。しかし何となく読めなかった。今の戦争とは違うんだろう?とか思って。

しかしたくさんのロシア女性が従軍した。(あとがきによると100万人、15歳から30歳)また500人以上からインタビューである。

続きを読む “女性から見た戦争”

スリランカの経済破綻と一杯のコーヒー

清田和之「スリランカ幻のコーヒー復活の真実」文芸社2023年8月発行

この本をなぜ読むか

この本は、今年の2月9日の日経新聞文芸欄に紹介された清田氏の「紅茶の島でコーヒー復活」の記事を読んで触発され、彼の書いた本を買い求めた。非常に薄い本である。いろんなところに書き溜めたような文章を一冊にしたのではと思わせられる重複や同じことをくどく説明するところもあり、読了するのに結構時間を食ってしまった。またこの本は事業が現在進行形であり、生産や販売の当事者が書いた、という点で珍しいのではないか。

続きを読む “スリランカの経済破綻と一杯のコーヒー”

イスラムと偶像崇拝

「反西洋思想」I・ブルマ、A・マルガリート、堀田江理訳、新潮新書、2006年9月発行(原著2004年発行)

なぜこの本を読み始めたのか

一番私の頭にあったのは、なぜこうも欧米、特にアメリカはすべての基準を作れるのか。基準とか規則とかスタンダードとかオリンピックのルールも同様であるが国際基準を作ることができるのか。ほかにもっと安定的な世界の基準というものがないのだろうか、あるいはそういう基準を作れる思想というものはないのだろうか、という発想だ。欧米発の科学、経済、法律、制度、国際的な取り決め。あるいは基本的な学問。何かもが欧米である。今回のウクライナ停戦問題もアメリカが中心となって決めていく。どこまで成功するかわからないが、あるいはガザの処理も何故イスラエルとアメリカでこれほどまでに強引にやれるのかということが不思議だ。こういう現状、非欧米基準というものはないのか。ほかの基準というものは何処かにないのか、と探していたらこの本に出合った。しかし、この本に関して言えば、そういう狙いとは全く別の問題を取り扱っていた。新書ではあるが、なかなか難しいテーマを取り扱っている。

続きを読む “イスラムと偶像崇拝”