ロシア史の中のエリツィンの位置

エリツィンの手記」上(崩壊、対決の舞台裏)同朋舎出版、1994発行

1,なぜこの本を読むのか

ロシアの成立という問題について何がどうなったために、ロシアという国が成立したのかと思いこの書物を手にした。いずれにせよロシアの中心人物であるゴルバチョフ、エリツィン、プーチンと自由ロシアからの重要人物はまだ3人しかいないのである。91年の自由選挙からの大統領とすれば2人、次のプーチンしかいない。これで約30年である。

エクスペディアによれば、エリツィンはロシアの初めての自由選挙でロシア大統領になった人物である。大統領制と自由選挙はゴルバチョフの改革路線(ペレストロイカ)の中で出てきた政策の一つである。

ゴルバチョフはソビエト機構の改革者として出てきたが、エリツィンはソビエトを解体しロシアを創った。つまりゴルバチョフとエリツィンは全く相対立しかない立場であった。

現在のエクスペディア風のロシア史を見るとエリツィンは非常に分が悪い。というのは彼の後半期には経済は混乱しストリートチルドレン、オリガルヒ(経済特権層)、ハイパーインフレなどによって人気は凋落したようだ。

2,ソビエトの解体からロシアの成立

しかし、この本を読むとわかってくることがある。ロシアの成立、という問題。この複雑な過程がどうやって出来上がったか。

彼の大統領選挙(1991年6月)のあとに、8月にクーデタが起こる。これは保守的立場の共産党の幹部らが起こしたクーデタであった。それまでもロシアの議会の中心であったホワイトハウスをめぐるクーデタである。(ホワイトハウスはロシア議会、クレムリンはソビエト連邦の政治を担っている。)

このクーデタの狙いは、強いソビエトの復権と強権政治の復活によってその当時の堕落した右傾化改革路線(ゴルバチョフ、エリツィン路線)を徹底的に粉砕してしまおうというものだった。そのためゴルバチョフの逮捕とエリツィンの逮捕などが計画されていた。しかしこのクーデタは三日程度花がしぼむように終わってしまった。それは写真など見るとわかるが民衆はそんなクーデタのをだれも望んでいなかった。むしろ新大統領の下に自由ロシアを支持した。

そしてこのクーデタ後にゴルバチョフのソビエト連邦大統領の退任とソビエトの解体、従来の連邦国家は自主独立国家として次々に独立していった。クレムリンの強権政治はもう不要ということだ。

これを簡単に言うと、本社と支店があった、本社が経済的にがたが来たので各支店は独立した自主経営をしたいと言い出した。何となくセブンイレブンのような気配である。いやまだまだ本社で指導、管理するのだ、本社の威厳がなくなったら彼らは傘になってかかってくるぞ、彼らに自主路線はある程度取らせて懐柔しておこうと言っていたのがゴルバチョフでエリツィンはそんな懐柔程度で離反を押しとどめることもできないし、威厳なんて言ってる場合ではない。今すぐ各支店を独立させよう。競合になってもいいではないか、簡素な本体にしないと自らも倒産してしまう、まあこういう図式であった。

結局このクーデタ後には各国の独立と、ソ連邦の解体、崩壊、ロシアの成立となった。

2,この本の中心点、ゴルバチョフとエリツィンの対立

この本は、その1990年8月のクーデタを中心に書かれており、エリツィンが持っている問題意識がゴルバチョフとどう違うか、西側では超人気者となったペレストロイカのゴルバチョフだが彼の政策が手詰まりであり矛盾しているとの指摘だ。さらに彼はソビエトを残しそこの大統領になっておりその威厳、強権をまだ使いたかったようだ。そのクーデタでエリツィンの家族の不安やゴルバチョフの逮捕の可能性など、また共産党保守派の統一感のないクーデタの様子が手に汗握るように書かれている。保守的官僚層との対決やゴルバチョフとの対決がよくわかる自伝である。

要するにこれからのロシア、ソビエトの歴史を左右する事件だった。ソビエトに戻るかロシア単独国家になるかという選択のただなかにいたのである。つまり歴史が一歩動いた。しかし動いた歴史は元に戻せなかった。一歩、二歩と前進してしまった。革命的に。これをきっかけにゴルバチョフは引退する。そして年金生活に入る。

それ以前に東ドイツのベルリンの壁が崩壊している。背後にはソビエト連邦の大衆は本当に自由を求め出して、その力も持ったということだ。マスコミも日本へ伝わってくるところとは大違いでかなりこの自由へ戦いに参加したようだ。この時代の通信手段はファックスと電話とテレビだけであった。クーデタ統制下では、思い出せばロシアのマスコミはファックスで世界にこの事件の状況を伝えていた。

投稿者: daiuema

昭和24年東京の浜松町で生まれ、3歳の時引っ越しし千葉市の幕張で育ちました。大学卒業後今のデンカに入りほとんど営業一筋です。ゴルフは31歳から始め現在南総カントリーのハンディ11

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